Loving Angels -NADIA-

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エンジェル達とのエピソード

Vol.4 虹のレッスン 本当の終わり

[前回から読む]

その約1年半後、この虹のレッスンに深く関わっているある場所へ行くチャンスが訪れました。

その頃の私は虹を見ることはないのですが、数字の55や蝶を多く見るようになっていて変化があるのは予想していましたが、それ自体がどんなものなのか、まだわかってはいませんでした。大きく変化するのは、心境だけなのか、それとも生活そのものなのか・・・。

私は、この虹のレッスンの場所へと向かうことで何かが変わると思いました。変わるというよりは、むしろようやくちゃんと終わることができる、と思ったのです。きっとそのために、このチャンスが与えられたのだと思いました。

天使のファンファーレで「あなたはレッスンを終えました。」といきなり"終わり"を告げられることによって、また新たに始まりを迎えた不思議なレッスンでしたが、一人の人間の女性としての私には、このレッスンに深く関わった出来事に対する執着や忘れがたい気持ちの整理が実のところ完全に終わっていたとは言い難いのでした。

レッスン自体は「私が私になる。」ということが、本当の目的だったのだということを知りましたが、それでも尚、人間としての弱さで、私はいまだ同じ場所に何度も何度も意識が戻ってしまっていました。 そして、それが、その"ある場所"だったのです。

その場所は、私にとって非常に鮮烈で、ここで起きた事、感じたことは、まるでさっき起きたことのように、全てを完璧に思い出すことができるのです。あのときの風の匂い、空気の質感、気温の変化、水の流れる音、空の青さ。そして、私が何を考え、何を感じていたかも。

それにまつわる現実の人間関係や出来事自体は終わってしまったことなのですが、いつかまた、かの地を訪ねてみたい、あの場所に佇んでみたい、そしてその時に自分が何を感じるのか、それを知りたい、とも思っていました。その地に行かないことには、終わったはずのことでさえもちゃんと終わったことにはならないのではと思っていたこともあります。しかし結果を先に言ってしまいますと、その場所へ行くことは叶いませんでした。

そのことがわかったとき、私は不思議と残念だとは思いませんでした。行くということに意味を感じていたし期待もしていたのですが。そしてすぐ思ったのです。「行く必要などないのだ」と。

行くことが叶わなくなって、初めてもう自分がその場所に行かなくてもレッスンを終えていることに気づかされたのです。いつの間にか、自分なりに苦労して、試行錯誤しながら、ゴールにたどりついていたことをこのことによって知らされました。何度も何度も進んだり戻ったりを繰り返しながら・・・

まるで儀式のように思い出深い土地に行くより、逆にそこに行けないことがわかって、もうすでに全てが終わっていることに気がつくことができたのです。3年くらいかかって、私の中で続いてきた虹のレッスンがようやく終わりました。正確に言うと、どこかの時期ですでに終わっていたことに、その時気付かされたのです。こんなふうに何かが自分の中で確かになる時というのは、普通の生活の延長線上で静かに、そして穏やかに訪れるものなのかもしれません。

虹のレッスンが終わっていたことに気が付いた私が手にしたものは、一体何だったのでしょうか。過去の消えない傷でしょうか、許せない人でしょうか、受け入れがたい現実でしょうか。いいえ、違います。そのときの私にはそれらをすべて、もちろん自分自身も含めて許す用意ができていました。全ての関わりの癒されてない部分を癒し、許すことができるようになっていました。自分の中心から湧き出る愛の気持ちで全てを包みこみ、そのことに対して深く感謝することさえできるようになっていたからです。それは瞑想の中で繰り返し現れるマリアの優しい微笑が教えてくれているようでした。今までは叱られてばかりでしたが、その頃は誉めてもらえるようにもなっていたのです。この世の見えないもの、見えるものも全てが愛だと気が付いたときから、「私は私になる」と決めたときから、私はこの瞬間に向かって歩き続けていたのです。

それは、シンプルな答えなのですが、私が私自身を知り、その中心を自分にするということでした。

そのために私は何年もの時間を費やし、天使やマスター、精霊たちとの対話を続けました。光の存在は、私がそのことを理解し、身に着けるまで、根気よく付き合ってくれました。決して一人ぼっちではなかったのです!私は何年もの間もがき苦しみ迷い続けながら、ようやく生きるための大切で基本的な道具を身につけました。そのときから、私の人生は全ての瞬間で輝き始めたのです。愛が溢れ出し、光が満ちてくるのを感じました。虹のレッスンの本当の終わりは、また新たな人生の始まりでもあるのです。そして今度は一体どんなレッスンが私を待ち受けているのでしょうか。

今、自分の中にあるものは過去への暖かな優しい気持ちでのお別れと、どんな場所にいても、どんな姿でいても変わることのない自分の中心なのです。

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